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知財リスクは国外からやってくる

中国で特許出願増大中

2014.10.1 八木 まゆ

・特許出願数、国内はじり貧、中国では急増中
 中小・ベンチャー企業への減免制度の拡大など(2014年4月から)、特許庁は中小・ベンチャー企業への特許出願及び権利化の促進に注力しています。というのも、国際的な特許出願件数の推移(下図)を見ますと日本以外の主要5か国における特許出願件数は増加又は維持されている一方で、日本のみ(図中)が減少傾向にあるからです。なかでも中国における特許出願数(図中)はこの5年で出願件数が2.5倍に増加しています。これは、日本や米国からの国際的な出願が増えているのではなく、中国国内人からの出願件数が増加しているためです。

五大特許庁における特許出願件数の推移・知財リスクは国外からやってくる
 中国で出願件数が急増している現状では、中国でビジネス展開する場合には勿論のこと、中国へのビジネス展開を予定していない場合でも中国企業との知財トラブルに巻き込まれるリスクが更に高まっていると言えます。
 例えば、日本国内で試作品を展示会に出品したところ、いつの間にか中国で安価な模倣商品が製造されて日本に輸入され、市場が席巻されるといったリスクがあります。試作品について先に日本国内で特許出願しなかった場合、特許権に基づく模倣商品の輸入を差し止められないことは勿論ですが更には、模倣商品であるにもかかわらず中国で特許出願され、公開されるケースがあり得ます。このケースでは中国語で出願が公開された後では日本でも公知発明となるので、もともとの試作品作成者であっても後に出願した場合に権利を取得できなくなるばかりか、日本国内への国際出願がなされて万が一権利化された場合には対抗することが困難になり、模倣商品の日本国内市場への流入を防ぐことが困難になる可能性があります。不正競争防止法による訴えも可能ですが、商品の外観が同一であるなどの条件があり、特許権に基づく訴えよりも難しい場合があります。
 試作品を展示会に出品する前に日本国内で特許出願をしておけば、権利化されたのちには模倣商品の輸入差し止めは勿論、権利化されるまでの期間における損害相当の金銭の支払い請求も可能になります。その他実用新案登録出願をしておくことや、商品の外観の模倣に対しては意匠登録出願を先にしておくことが有効です。

・中国語の文献も日本語で全文検索が可能に
 このように、国内のみならず特に中国での知的財産の動向に注意することが以前にも増して大切になっています。中国語の特許文献は2011年には世界の全特許文献の50%に達し、更に増加中です。2014年9月現在、IPDL(特許電子図書館)では、中国語及び韓国語の文献については英文による概略の日本語訳を閲覧できますが、2015年3月からIPDLの全面的な刷新に際し、日本語による全文検索が可能になります。中国で特許出願又は実用新案登録出願された技術の把握が容易になりますので活用してください。

◆国内外での権利取得・侵害等については、河野特許事務所までご相談ください。

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