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2015.4.1 大竹 康友
特許庁は2月10日に商標の登録に要する料金を25%程度引き下げる方針を固めました。登録から10年毎に発生する更新料も20%程度引き下げられる方針です。関連する法案が今通常国会に提出され、来年までに改定が実施される見通しです。以下、関連のトピックスを交えて説明します。
1.法改正の背景と狙い
(1) 商標に係る料金改定は2008年以来であり、既に昨年の11月に料金改定の方針が表明されていました。
(2) ここ数年、日本で出願される商標は年に11万件程度で推移していますが、例えば中国での実績は2013年に188万件にも上っています。中国で先に「無印良品」の商標権を取得され、その取り消しに7年を費やした例があります。また、中国で先に「今治」の商標が登録され、日本からの「今治タオル」の商標出願が一旦拒絶されて再度の出願までに5年を要した例もあります。
(3) 海外企業との競争が激化する中で登録に係る費用の負担を減らして商標の取得を促し、海外での権利取得も推奨することによって、知的財産権の保護の強化につなげる狙いがあるとされています。
(4) 商標は特許に比べて中小企業等の利用率が高く、利用者の実質的な費用負担額を軽減することで、より幅広く商標権の活用促進が図れる効果が期待されます。
2.引き下げ内容(見通し)
(1) 現在3万7600円(区分あたり)の料金が2万8200円になる見通しです。
(2) 現在4万8500円(区分あたり)の更新料が3万8800円になる見通しです。
(3) 特許についても出願料が1000円程度、毎年の更新料が1割程度引き下げられます。
3.今後について
(1) 国会での議決と施行日の確定を見守る必要があります。
(2) 料金の引き下げを待って出願するのか、より早期の権利化を図るのか、見極めが必要です。
(3) 料金引き下げの結果、外国の企業や個人等が日本国内での商標登録出願を増やすことがないか、注視する必要があると思われます。
4.関連トピックス
日本国での商標登録又は商標登録出願を基礎として国際商標登録出願を行うことができますが、その場合は、商標の同一性が厳格に求められます(例えば、漢字とアルファベットを併記した商標の場合、外国では漢字又はアルファベットの一方が不要であっても削除できません)。これを緩和する方向での制度変更が、世界知的所有権機関(WIPO)で検討されています。
◆商標について詳しくは、河野特許事務所までお気軽にご相談ください。
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