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商標は生き物

~商標の早期登録・管理が重要~

2015.9.1 安田 恵

 商標は"生き物"です。商標は自社商品と、他社商品を識別する標識であり、その働きは識別力と呼ばれています。識別力は商標の最も重要な機能です。この識別力は、自社および他社の商業活動、需用者および取引者の認識によって変化し、本来備えていた商標の識別力が喪失してしまうこともあります(たとえば、「うどんすき」,「巨峰」など)。商標が"生き物"と呼ばれる所以です。自社商標が一般的名称であるかのように使用されている状態を放置していると、商標は識別力を喪失し、死んでしまいます。これは出願中の商標も例外ではありません。では、出願中にできることは何でしょうか?

1.商標登録出願と識別力の判断時期
 商標登録出願を行うと、先行類似商標の有無に加え、商標の識別力が審査されます。先行商標か否かは、出願時を基準に判断されますが、識別力の有無は実際の審査時を基準に判断されます。つまり、商標登録出願の時点で識別力を有していても、その4ヶ月~6ヶ月後(審査待ち期間)に識別力を喪失すると、登録は認められず、出願は拒絶されてしまいます。商品の性質を的確に表現した商標ほど、普通名称・慣用商標化し、識別力が失われてしまう危険性が高いと言えます。

2.早期審査請求
 自社商標の識別力が喪失してしまう大きな要因の一つは、他社による商標の使用です。しかし、未登録の状態では他社の使用を止めさせることは一般的に困難です。そこで、早期審査請求を行うことが考えられます。早期審査請求を行えば、2ヶ月程度で出願審査の結論を得ることができます。商標の識別力が喪失する前に商標登録を得ることができる可能性が高くなります。商標権の登録が認められれば、登録商標の無断使用を止めさせることができます。また、商標登録は、他者に登録商標の使用を控えさせる大きな抑止力になり、商標の識別力喪失を食い止めることができます。

3.商標であることの明示
 また、未登録の状態であっても、出願に係る商標を使用する際、その商標に「TM」、「SM」などの表記を付することが考えられます。需用者、取引者がその商標を、商品・サービスの一般的名称・慣用名称として認識するにいたることを防ぐことができます。

4.登録後の管理
 商標登録後も安心ではありません。他者が登録商標を勝手に使用する状況を放置していると、登録商標であっても、識別力が喪失し、権利が使えなくなってしまいます。登録商標の無断使用に対しては毅然とした対応が必要です。

■ 商標登録出願・早期審査請求については、河野特許事務所までお気軽にご相談ください。

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