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4月1日改定商標審査基準

~キャッチフレーズ商標の出願はお早めに~

2016.4.1 安田 恵

 従来の商標審査基準は、キャッチフレーズ(人の注意をひくように工夫した簡潔な宣伝広告等として認識されるフレーズ)のような標語の商標登録を原則として拒絶するとしていました。ただ、「標語」に該当するか否かの判断基準が不明確なこともあり、審査で商標登録出願が拒絶されても、上級審である審判に不服を申し立てると、6割以上、近年では7割弱の商標について登録が認められるのが現状でした。とは言うものの、出願人の費用負担が大きく、標語の商標登録出願を断念するケースが多く見られました。しかし、今回の審査基準改定により、「標語」に該当するか否かの判断基準が明確になり、キャッチフレーズの商標登録が容易になりました。

1.登録が認められるキャッチフレーズ
 出願商標が、①商品・役務の宣伝広告、または②企業理念・経営方針を表示したものとしてのみ認識されるものでは無く、商品・役務を識別する標識となり得る要素があれば、キャッチフレーズの商標登録が認められます。
 ①については、例えば商標が、出願人の業務に関する商品・役務の説明、特性、品質を直接的かつ具体的に表すものである場合、宣伝広告としてのみ認識される要因になります。商品・役務との関係で、その具体的な意味合いが認められない場合、宣伝広告以外の商標的要素が認められる要因になります。第三者がすでに宣伝広告として使用している事実は、商標が宣伝広告としてのみ認識されることを示す根拠として考慮されます。
 ②については、例えば商標のフレーズを第三者がすでに企業理念等を表すものとして使用しているような場合、商標が企業の特性、優位性を表示したものとしてのみ認識される要因になります。
 例えば、商標「この窓 このスタイル この生地」、「生き生きとした人生を」等は、宣伝広告等、企業理念等を表示したものとしてのみとして認識されるものでは無く、商標登録が認められています。

2.他社が類似キャッチフレーズを使用し始めると・・・
自社のキャッチフレーズ商標を出願する前に、他社がその類似キャッチフレーズを使用し始めると、出願商標が商品役務の宣伝広告、企業理念・経営方針を表したものと判断される要因が大きくなり、登録が認められにくくなります。重要なキャッチフレーズの商標登録出願は早めに行うのが得策です。

3.他社に商標登録されるリスク
以前から使用しているキャッチフレーズでも、他社がそのキャッチフレーズの商標登録出願を行うと、登録が認められる可能性もあります。他人に商標登録されてしまうと、自社のキャッチフレーズの使用を継続できなくなるおそれがあります(*1)。重要なキャッチフレーズは、他社に先取りされる前に商標登録出願しておくのが得策です。

*1 自社のキャッチフレーズが日本で周知になっていれば、後に他人が商標登録を行っても、その使用を継続できますが、周知か否かの判断は必ずしも容易ではありません。

◆商標登録出願・早期審査請求については、河野特許事務所までお気軽にご相談ください。

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