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地域ブランドづくりを推進!

~地理的表示保護制度の利用を~

2016.8.1 野口 富弘

 地域経済の活性化等を図るため地域の伝統的な産品をブランド化して付加価値を高める取り組みが各地で行われています。一方で、産品の品質格差や地域ブランドへの便乗などの課題もあり、このような課題を克服する制度として、地理的表示保護制度の運用が開始されています。

1.「地理的表示保護制度」とは
 地域の伝統的な産品(例えば、食用に供される農林水産物、飲食料品、その他政令で定められた農林水産物および加工品など)のうち、品質等の特性が産地と結び付いているものについて、例えば、「夕張メロン」や「神戸ビーフ」のように、その産地を含む名称等を「地理的表示」という知的財産として国に登録することができる制度です。

2.地理的表示の主な登録要件
 産品の生産者等が組織する団体が、産品の品質等の基準を記載した所定の申請書等を農林水産省食料産業局知的財産課へ提出することによって登録申請を行うことができます。主な登録要件は、
 ①産品が農林水産物・飲食料品等であること
 ②産品が生産地と結び付いた品質等の特性を有していること
 ③産品の品質基準を定め、団体が品質管理を行うこと
 ④産品が一定期間(概ね25年)継続して生産されていること 。

3.地理的表示の主な登録要件
 ・審査を経て登録されると、産品の品質について国の「お墨付き」が得られること になります。
 ・産品には地理的表示に加えてGIマーク(下図)を付けることになります。 これにより、他の産品との差別化が図られます

GIマーク

 ・地理的表示の不正使用を知った者の通報により、農林水産省が表示の除去を命ずる など取締りを行います。生産者にとっては、訴訟等の負担なく、ブランドを保護することができます

4.地域団体商標制度との違いは?
 地域ブランドを保護する制度として、地域名と商品名等からなる商標を登録することができる地域団体商標制度があります。地域団体商標制度の場合、農林水産物・飲食料品等に限定されず、全ての商品・サービスが保護対象となります。また、地域団体商標制度の場合、商標権者以外の団体は商標を使用することができません。一方、地理的表示保護制度の場合、地域全体の共通財産となり、品質基準等が一定の要件を満たせば、別の団体でも追加登録をすることができ、追加登録された団体の生産者もその地理的表示を使用することができます。
 地域の実態や産品の特性に応じて、いずれかの制度または「神戸ビーフ」のように両方の制度を利用することができます。

■ 知的財産に関するご相談は、お気軽に河野特許事務所までお問い合わせください。

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