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2016.10.1 廣田 由利
自社の新技術・製品の良さが顧客・取引先に理解されない、市場が広がらないので事業を拡大できないといった悩みは標準化により解決されます。標準化とは、自社製品の品質・性能を国内又は国際レベルで客観的に表すための基準(標準)を文書として記載するものであり、標準の種類としては試験方法規格、製品規格等があります。標準化により、①自社製品の品質・性能が客観的に分かりやすくなり、②規格を満たさない低品質品を排除でき、③規格を満たしているという優位性から顧客を自社製品に惹きつけてコスト競争力を高めることができます。以下、標準化の具体的な進め方について説明いたします。標準化は、業界団体で行うこともでき、企業1社で行うこともできます。
1.準備
自社製品の特徴、優位性、市場展開における課題を考慮して、標準化の目的、テーマを検討し、標準の対象範囲を考慮して国内標準(JIS)及び国際標準のいずれにするかを決めます。経産省及びJSA(日本規格協会)には、標準化全般についての相談窓口(総合標準化相談室)があります。
2.規格の構成
試験方法規格の構成は、原理、試薬・その他の物質・材料,装置・測定器、試料・試験片の調整及び保管,手順,試験結果の表し方,試験報告書です。
製品規格の構成は、種類,性能、構造,形状・寸法,外観,材料,試験方法,検査方法,表示です。
この規格の項目に当てはめて標準原案が作成されます。
3.標準化の具体的な進め方
(1)標準原案作成段階
①JISの場合 : 原案作成の進め方として、JSAへ標準原案の作成を申請して、JSAにより標準原案を作成する「新市場創造型標準化制度」を活用する方法と、業界団体で原案作成を行う方法とがあります。
②国際標準の場合 : 新市場創造型標準化制度を活用する場合、JSAへ標準原案の作成を申請した後、JSAにより国際規格提案(新業務項目提案)を作成し、ISO,IEC(国際電気標準会議)に提出します。そして、ISO,IECのTC(専門委員会)/SC(分科委員会)の作業グループにより国際規格原案が作成されます。新市場創造型標準化制度を活用しない場合、国際規格提案は業界団体によりなされます。
(2)標準審議段階
JIS制定の場合、JISC(日本工業標準調査会)で審議され、原案作成から5~8ヶ月で標準が発行されます。国際標準化の場合、TC/SCで国際規格原案が審議され、ISO,IEC全加盟機関への意見照会後、原案作成から3~5年で国際標準として発行されます。
4.戦略
標準を満たすためのコア技術は、模倣されやすいものは、特許を得て積極的に権利行使することが考えられます。例えば、試験方法による試験結果を物性として物の請求項を設けて出願するとともに標準化を進めます。また、標準化後に、当該標準の試験方法による試験結果により新規物質の請求項を設けることも考えられます。模倣が容易でないものは、特許出願はせず、ノウハウを開示しないように標準化することによって、市場での優位性を得ることを図ります。
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