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2017.3.1 野口 富弘
特許協力条約(PCT)に基づく規則では、優先期間(優先権主張の基礎となる出願の日から12月)内にPCT国際出願をすることができなかった場合でも、優先期間を遵守できなかった理由がPCT国際出願の受理官庁及び国内段階移行時の指定官庁が採用する基準に該当する場合には優先権の回復を認めています。
1.回復のための基準
優先権の回復の基準には、優先期間の徒過が相当の注意を払ったにもかかわらず生じた場合に認められる基準(厳格な基準:due care)と、故意ではない場合に認められる基準(緩やかな基準:unintentional)の二つがあります。受理官庁及び指定官庁は、これらの基準の一方又は両方を採用することができます。
2.優先権の回復のための手続き
優先権の回復の請求は、優先期間満了の日から2月以内に受理官庁に対してPCT国際出願をするとともに、優先期間徒過の理由及び必要な場合には当該理由を裏付ける証拠を提出する必要があります。
3.優先権の回復の効果
(1) 一般的には、日本にした特許出願を基礎として日本の特許庁(受理官庁)へPCT国際出願をします。日本の特許庁では、厳格な基準が採用され、優先期間徒過の正当な理由には、例えば、天災地変による被害に遭った場合、事故や突発的な入院による担当者や代理人の不在などが該当しますので、日本の特許庁を受理官庁としてPCT国際出願をした場合、優先権の回復は困難です。
(2) しかし、日本の特許庁と異なり、国際事務局では、受理官庁として緩やかな基準を採用しています。さらに、指定官庁が緩やかな基準を採用していれば優先権の回復が可能となります。例えば、米国の特許庁は指定官庁として緩やかな基準を採用しています。
そこで、優先期間を徒過してしまった場合、日本にした特許出願を基礎とするPCT国際出願を、日本の特許庁ではなく、国際事務局に対して行うことで、優先権を回復して米国へ国内移行することができます。
(3) 米国と同様に、指定官庁として緩やかな基準を採用している国は、例えば、英国、オーストリア、ブルガリア、ニュージーランド、マレーシア、シンガポール、チリなどがあります。
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