ソフトウェアの特許の事なら河野特許事務所

閉じる
一覧  |   トップ  


知財ビジネス評価書

~知的財産活用の新たなツール~

2017.7.1 森田 恭允

 

 特許権等の知的財産権を取得したものの、実際に活用する場がない、または、活用方法が分からない等ということはありませんか?知的財産権を活用するための一つのツールとして、知財ビジネス評価書があります。

1.知的財産の価値は判断が難しい
 企業は、自社の技術について特許権等の知的財産権を取得した場合、市場における技術の独占、他社の排除、ライセンス設定等が可能となります。また、このような知的財産権の基本的な活用の他に、金融機関に知財の価値を説明して融資を受ける、又は融資枠を拡大するというように、知的財産権を活用する場合があります。しかしながら、知財の価値は目に見えるものではなく、融資の担当者に判断及び理解してもらうことは難しいことが想定されます。

2.知財の活用の支援
 知財ビジネス評価書は、知財の価値の見える化を行うものであり、融資の担当者に知財の価値を判断及び理解してもらう場合に、非常に助けとなります。このような融資の場面等に使用されることを目的として、知財ビジネス評価書を作成する知財ビジネス評価書支援制度があります。この制度では、申請者が、特許庁の受託事業者の中小企業知財金融促進事業事務局(以下「事務局」)に申請することで知財ビジネス評価書を無料で作成してもらうことができます。また、作成は事務局が提携する13社の調査会社の内の何れかが行い、申請者は作成する調査会社を選択できます。

3.支援制度を受ける主な条件
 申請者は、中小企業に融資を行っている金融機関です。知財ビジネス評価書作成の対象となる企業(以下「対象企業」)は、特許権、実用新案権、意匠権、商標権のいずれかを有する中小企業です。申請の受付期間は2017年6月19日~12月末であり、約200件に到達次第終了となります。対象企業は申請書において、申請の同意欄、作成にあたっての調査会社からのヒアリングの了承(調査会社によっては不要)欄等に記入します。なお、知財ビジネス評価書の金融機関への提供後には、その金融機関の名称が公表されます。また、金融機関に対して事務局及び特許庁等によるヒアリングがなされる場合があります。

4.知財ビジネス評価書の内容
 知財ビジネス評価書の内容は、調査会社により異なりますが、知財の専門家である第3者の視点でまとめられ、発明の内容、従来技術の説明、その課題等を踏まえて、知財の属する分野における対象企業の出願の状況、内容等が記載され、また、同分野及び関連分野の市場の状況、他社出願の状況、事業及び知財における課題、知財に関する事業の価値知財の価値等が記載されます。事業の価値、知財の価値は、調査会社によっては、わかり易く金額で明示します。事業の価値の金額は、対象企業の事業計画等に基づいて将来の売上げ等として算出(DCF法等)します。知財の価値の金額は、算出した事業の価値の金額をベースにして、知財評価における経験則等を考慮して算出します。また、事業の価値の金額は算出せずに、知財の価値の金額を知的財産権に係るロイヤルティ、事業規模等を考慮して算出する場合もあります。知財ビジネス評価書のような資料を企業が自製することは難しく、無料で作成できるのは魅力的です。また、第3者が評価を行うことで、知財の信頼性、凄みが高まります。

5.活用方法
 対象となる知財の重要性、これによる企業の市場優位性等に対して、融資の担当者が理解を深めることができ、融資を促すことに活用できます。また、知財という観点から、自社の技術等の強み弱みを見直すことができ、事業計画に役立つと考えられます。金融機関側としては、融資の際の稟議書の補強材料にすること等が可能です。

◆知財ビジネス評価書支援制度についてご質問がございましたら、お気軽に河野特許事務所までご連絡ください。

閉じる

Copyright(c) 河野特許事務所