・IoT関連技術の推進施策
2017年3月に経済産業省は、「Connected Industries」の推進を掲げ、その後シンポジウムを立て続けに開催するなど、IoTを活用した事業の支援に積極的な姿勢を見せています。その他
ベンチャー企業との意見交換会、大・中小企業間の連携推進、中堅・中小製造業に向けたIoTに関するアイディア募集を開催するなど(IoT推進ラボ、ロボット革命イニシアティブ協議会等を参照)、中小企業への期待の高さも伺えます。このような他企業との連携、意見交換、アイディアの応募に参加することは大いに推奨されますが、その場合にはそれに先駆けて特許出願をしておくことが得策と言えます。特許庁では上述の「Connected Industries」の推進の掲示と時を同じくして「特許・実用新案審査ハンドブック」を改定しIoT関連発明の保護を充実化させています(弊所特許関連ニュース2017年5月号)。
・IoT関連発明の具体例
どのような発明がIoT関連発明として特許される可能性があるのか具体例を示します。特許庁からは以下のような発明Aが例示されています(図は特許庁「IoT関連技術の審査基準等について」から引用)。
発明A |
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発明A:車輌のワイパーに装着されているワイパー動作センサから、ワイパーの動作状況(速度)及び車輌の位置とを分析サーバへ送信させ、分析サーバにてワイパーが高速に動作していることを示す動作状況を送信してきたワイパー動作センサが装着されている車輌位置に基づき、豪雨が発生している地点を特定するシステム。
これに対し、以下のような従来技術B,Cがあるとします。
従来技術B:ワイパーの動作情報(加速度)が各車輌に配されているワイパー動作センサから車輌の位置と共に分析サーバへ送信され、分析サーバにて故障したワイパーを特定するシステム(下図)。
従来技術C:SNSへの投稿文と投稿文に対応する位
置情報が、投稿文を受け付ける携帯端末から分析サーバへ送信され、分析サーバにて豪雨に関する単語を含む投稿文を抽出し、この投稿文に対応する位置情報から豪雨地点を特定するシステム(下図)。
従来技術B |
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従来技術C |
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発明Aは、従来技術B,Cがあったとしても進歩性があると判断されます。発明Aに使用されているセンサは技術Bと同様であり、発明Aは技術B及び技術Cの組み合わせであるとも言えますが、
組み合わせることは技術分野の相違、ワイパーの故障検知と豪雨地点特定との間の課題の相違、機能の相違から容易でないと論理付けられるためです。
このように
「センサをどこに取り付けて、どのような情報を収集し、収集した情報からどのような情報を提示するか」が、当業者が容易に思いつくものではないと判断される場合は、特許を受けることができる可能性があります。経済産業省より保護する姿勢が示されている今、IoT関連出願の件数が現在進行形で増大していることが予想されます。他者に先んじて出願を検討されることをお勧めしています。
◆IoTに関する特許権取得については、河野特許事務所までご相談ください。
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