ソフトウェアの特許の事なら河野特許事務所 |
閉じる | ||
一覧 | トップ |
2019.4.2 新井 景親
はじめに
近年、ベトナムを製造拠点にする日本企業が増加し、シンガポールは、先端技術の研究・開発に余念が無く、両国は特許戦略上重要な国と言ってよいでしょう。2019年4月1日から3年間、ベトナムと日本との間で特許審査ハイウェイ(PPH)が新たに試行されました。一方、シンガポールにおいては、外国特許に基づく補充審査が2020年1月1日以降廃止されるため、これに対応する必要があります。以下、ベトナムと日本との間でのPPHと、シンガポールにおける補充審査の廃止への対策について説明します。
ベトナムと日本との間でのPPH
日本の特許出願を基礎として、ベトナム国家知的財産庁(ベトナム知財庁)に特許出願する場合、日本特許庁の審査結果を利用するよう、ベトナム知財庁に申請すること、即ちPPHの申請が可能です。PPHを利用することによって、ベトナムにて早期に特許権を取得することが可能となります。ベトナム知財庁の通常審査では、審査結果を得るまで平均3年以上を要します。一方、PPHを利用した場合、審査結果が出るまでの期間は平均10ヶ月となります。
なおベトナム知財庁は、2019年4月1日からの半年間(前半)と2019年10月1日からの半年間(後半)それぞれの期間に、PPHの申請を100件受け付けるとしています。残念ながら、2019年4月1日に前半100件の申請枠は埋まりました。後半100件の申請枠も受け付け開始日に埋まることが予想されます。ベトナム知財庁へのPPH申請は、受け付け開始直後に行えるよう、事前に準備しておくことをお勧めします。
シンガポールにおける補充審査の廃止への対策
外国特許出願を基礎にして、シンガポールに特許出願をした場合であって、外国特許出願が先に特許されたときには、シンガポール知的財産庁(シンガポール知財庁)に補充審査を申請することができます。補充審査とは、シンガポール出願について、先に権利化された外国特許と同じ内容にクレームを補正することを条件にして、シンガポール知財庁は書誌的事項のみ審査し、早期に権利を付与する制度です。
しかし、2020年1月1日以降、補充審査は廃止されます。したがって、補充審査を受けるためには、
2019年12月31日までに国際出願を行って、その後シンガポールに移行させるか、又は2019年12月31日までにシンガポールに国内出願を行う必要があります。
現在、日本特許庁に係属している特許出願があり、シンガポールでの権利化が必要になる可能性がある場合には、上記国際出願又は国内出願をすることをお勧めします。
既に国際出願しているか、又はシンガポールに国内出願している場合、重要な発明については、2019年12月31日までにシンガポールにて分割出願をするか否かを検討することをお勧めします。 重要な発明を多面的且つ早期に権利化させることができるからです。なお分割出願が補充審査を受けるためには、実際の出願日が2019年12月31日までであることが必要な点に留意ください。
◆ ベトナム及びシンガポールの特許制度について質問・相談がございましたら、お気軽に河野特許事務所までご連絡ください。
Copyright(c) 河野特許事務所