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AI関連技術の特許出願の勧め

~機械学習データセットに特徴があれば特許~

2020.5.1 弁理士 野口 富弘

 近年、AI(人工知能)関連の特許出願は、画像処理、音声処理など様々な分野で増加しています。AI関連の技術では、データセットを用いた機械学習によって生成された学習済みモデルを利用します。機械学習に用いるデータセットに特徴があれば、特許として権利化可能です。以下では、作業用車両が発する音声データを用いて生成された学習済みモデルを利用して事故の発生の可能性を判定する装置の発明(特許第6626549号)について簡単に説明します。

1.本発明の概要

発明の概要

 本発明は、後退する作業用車両Aが発する後退音と、作業用車両Aの周囲で後退する作業用車両Bが発する後退音とを含む音声から生成されたデータセットを用いた機械学習により生成された学習済みモデルを用いて作業用車両が事故の発生の可能性が高い状況にあるか否かを判定するものです。

2.データセットの特徴
(1)審査段階では、車両に取り付けられたマイクで集音された車外音から抽出した抽出音に基づいて車外物体との接近度合を演算して接近危険度を判定するとともに、抽出音を用いて車外物体の種類を判別する学習済みモデルが記載された引例が挙げられ、特許出願は進歩性がないと判断されました。
(2)しかし、出願人が特許請求の範囲を補正することにより、本発明は、作業用車両A、Bの後退音が重なると、作業用車両Aの運転者は作業用車両Bの接近に気付き難い状況となり、事故の発生の可能性が高くなるというアイデアに基づき、作業用車両A、B両方の後退音を含む音声から生成されたデータセットを用いて学習済みモデルを生成した点が引例と異なるとして、最終的に進歩性ありと判断されました。
(3)このように、単に車外音から抽出された抽出音ではなく、2台の作業用車両両方の後退音を含む音声のように、機械学習に用いるデータセットに特徴がある場合、特許になる可能性があります。

◆AI関連出願について質問・相談がございましたら、お気軽に河野特許事務所まで御連絡ください。

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