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長く愛されるデザインを保護

~基礎意匠の公報発行後に関連意匠を出願する~

2022.4.8 弁理士 新井 景親

 2019年度意匠法改正によって、基礎意匠の出願後10年以内に関連意匠を出願した場合、基礎意匠の公報発行を理由に関連意匠の出願が拒絶されることはなくなりました。そのためマイナーチェンジを行う都度、関連意匠を出願し、長く愛されるデザインを保護することが可能となりました。関連意匠に関する改正は2020年4月1日から施行されました。以下、施行後の登録例について、解説します。なお基礎意匠は、一連の出願における最初に出願された意匠をいいます。
登録例1(お菓子)
基礎意匠     関連意匠1    関連意匠2  


 基礎意匠及び関連意匠1の意匠公報発行後に、関連意匠2は出願されました。基礎意匠は関連意匠1の本意匠であり、関連意匠1は関連意匠2の本意匠です。なお本意匠は、関連意匠出願において、自己の意匠に類似する意匠として指定される意匠であって、自己の意匠の出願日以前に出願されたものをいいます。関連意匠2は、真ん中の筋の形状及び上部輪郭形状において異なり、基礎意匠とは類似しないと考えられますが、関連意匠1とは真ん中の筋の形状が共通するので、関連意匠1とは類似すると考えられます。即ち、関連意匠2は関連意匠1にのみ類似する意匠です。改正前は、最先に出願された意匠しか本意匠に指定できず、関連意匠にのみ類似する意匠は、登録されませんでした。しかし、改正によって、関連意匠2は関連意匠1を本意匠に指定することができ、登録されました

登録例2(座椅子)
基礎意匠         関連意匠


 基礎意匠は関連意匠の本意匠です。基礎意匠の出願前に、出願人は自ら基礎意匠と同一又は類似する意匠を公開していました。そのため、基礎意匠は、新規性喪失の例外規定(意匠法第4条第2項)の適用を受けて登録されました。改正前であれば、関連意匠も同様に前記例外規定の適用が必要でした。しかし、本件関連意匠は、前記例外規定の適用を受けずに登録になっています。改正によって、関連意匠と同一又は類似する公知意匠が存在しても、公知意匠が「関連意匠の意匠登録出願人自らが意匠権を有する意匠、又は意匠登録を受ける権利を有している意匠」と同一又は類似する意匠である場合、前記公知意匠は新規性・創作非容易性の判断の基礎となる資料から除外されるので(意匠法第10条第2項及び8項)、関連意匠が登録されていると考えられます。

◆関連意匠について質問・相談がございましたら、お気軽に河野特許事務所までご連絡ください。

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