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2025.7.1 弁理士 難波 裕
昨年4月に商標のコンセント制度が開始され、今年4月にコンセント制度を適用した初の商標登録が行われました。そこで本号では商標のコンセント制度を紹介します。
1.商標法におけるコンセント制度とは
商標法では、他人の登録商標(以下「先行登録商標」と記載します)と同一又は類似する商標であって、指定商品又は役務も同一又は類似する商標については、商標登録を受けることができない旨が規定されています(商標法第4条第1項第11号)。しかしながら、米国、中国、台湾等の諸外国では、先行登録商標と同一又は類似する商標であっても商標権者の同意(コンセント)があれば後願商標の併存登録を認めるコンセント制度が導入されています。そのため、国際調和の観点等から、@商標権者の承諾を得ており、かつ、A先行登録商標と出願商標との間で出所の混同が生じるおそれがないものについては、登録を認めるコンセント制度が導入されました(同法第4項)。
2.コンセント制度が適用された初事例
今年4月7日にコンセント制度を適用して登録された登録商標と、当該商標の登録を承諾した商標権者の 先行登録商標は以下の通りです。 (https://www.meti.go.jp/press/2025/04/20250407001/20250407001.html)
<コンセント制度を適用して登録された商標>
<先行登録商標>
コンセント制度を利用するには、商標権者による承諾書のほかに、出所の混同が生じるおそれがないことを証明する書面が必要になります。本事例でも、承諾書のほかに、商標権者及び出願人が互いに出所の混同を生じないように商標を使用することを取り決めた合意書や、商標権者及び出願人それぞれの業務内容に関する資料を提出することで登録されました。
3.今後の展望と注意点
まだ登録事例が十分に蓄積されていませんが、コンセント制度は4条1項11号の拒絶回避の対応策として有効になってくるものと思われます。
ただし、出所の混同が生じるおそれがないことを証明するために、商標権者及び出願人は自らの商標の使用態様等について合意する必要があり、合意内容によっては商標を使用可能な範囲が狭くなってしまう懸念があります。また、登録後も先行登録商標と出所の混同が生じないように、登録商標の使用には十分留意する必要があります。
◆ 商標に関するご相談は河野特許事務所までお気軽にお問い合わせください。
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