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米国でのAI支援発明の発明者認定ガイダンス

〜 発明を「着想」した自然人が発明者 〜


2026.1.5 弁理士 難波 裕

 米国特許商標庁(USPTO)は昨年11月に、一昨年2月に発表したAI支援発明の発明者認定ガイダンスを廃止し、新ガイダンスに改訂することを発表しました*。そこで本号では、この新ガイダンスについて紹介致します。

1.背景と旧ガイダンス
 AI技術の発展に伴い、発明の成立過程でAIの支援を受けたもの、すなわちAI支援発明が生まれるようになりました。それと同時に、AI支援発明は発明者が誰であるか、AIが発明者なのか、という問題が浮上しました。その後の各国の判例で、AIは発明者になり得ず、自然人のみが発明者になり得ることが確認されましたが、依然として「自然人がAIの支援を受けて発明を行った場合、その自然人は発明者になり得るのか?」という問題が残りました。
 そこでUSPTOは一昨年、AI支援発明の発明者認定ガイダンスを発表しました。この旧ガイダンスでは、過去の判例で確立された共同発明者の認定基準を援用し、発明の成立過程で自然人が「重要な貢献(significant contribution)」をしたかどうかで、自然人が発明者かどうかを判断することとしました。
しかしながら、「重要な貢献」とはどのように判断するのか、そもそもAIは発明者になり得ないにも関わらず共同発明者の認定基準を援用するのか、といった指摘がありました。

2.新ガイダンス
 そこでUSPTOは旧ガイダンスを廃止し、新ガイダンスを導入することにしました。新ガイダンスでは、AI支援発明を他の発明と同様に扱い、発明の「着想(conception)」を行ったかどうかを中心に発明者を認定するとしています。平易に述べると、AIの支援の有無に関わらず、自然人の心の中にアイデアが形成された場合、その自然人を発明者と認定することになります。新ガイダンスでは、AIは実験装置やコンピュータソフトウェアといった発明プロセスの支援ツールの一つに過ぎないと位置付けており、AIは共同発明者になり得ないとしています。そして、自然人がAIの支援を受けて発明を行った場合、その自然人が発明者であるかどうかは、上記の通り「着想」をしたかどうかで判断されます。
 このように、旧ガイダンスにおける「重要な貢献」という判断指標を新ガイダンスでは廃止し、「着想」を行ったかどうかで発明者を認定することとしています。そして、一般的にUSPTOは、出願データシート及び宣誓書に発明者として記載されている自然人を、実際の発明者と推定するとしています。

3.まとめ
 新ガイダンスにより、発明者が「重要な貢献」を行ったかどうかを出願人や審査官が判断する必要が無くなったため、出願・審査実務上の負担が軽減されるものと思われます。

◆ 特許出願に関するご質問・ご相談は河野特許事務所までお気軽にお問い合わせください。

* https://www.federalregister.gov/documents/2025/11/28/2025-21457/revised-inventorship-guidance-for-ai-assisted-inventions

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