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2026.2.2 弁理士 新井 景親
1.2つの裁定制度
著作権者又はその所在が分からない場合、著作権者の許諾を得る代わりに文化庁長官の裁定を受け、通常の使用料額に相当する補償金を支払うことにより、著作物(Orphan works)の適法な利用が可能となります。従来、「権利者不明の場合の裁定制度」(著作権法第67条、以下単に「権利者不明」)が利用できました。2026年4月より、新たに「未管理著作物裁定制度」(著作権法第67条の3、以下単に「未管理」)を利用することができます。以下、2つの制度について説明します。
2.裁定制度の比較
(1)手続き
(A)「権利者不明」では、以下の手続きが必要です。
i)利用したい著作物等が公表等されていることの確認
ii)著作者が利用を廃絶しようとしていることが明らかではないことの確認
iii) 権利者情報を取得するための措置を取り、権利者情報に基づき権利者と連絡するための措置をとったにもかかわらず、著作権者と連絡することができなかったことの確認
iv)文化庁への申請
(B)「未管理」では、以下の手続きが必要です。
i)上述の(A)-i)、ii)
ii)著作権等管理事業者により管理されていないことの確認
iii利用の可否に係る意思表示がされていないことの確認
iv)利用の可否に係る意思を確認するための措置をとったにもかかわらず、その意思の確認ができなかったことの確認
v)登録確認機関への申請
「未管理」では登録確認機関への申請で足り、登録確認機関が要件の確認、使用料相当額の算出等の手続を担うため、「権利者不明」に比べて、簡便・迅速な著作物の適法利用が可能です。
また著作権者及びその連絡先は判明し連絡したが、著作権者から返信が無く意思が不明な場合に、「権利者不明」では、裁定を受けることができません(著作権者と連絡することができなかったという要件を満たさない)が、「未管理」では裁定を受けることができます。
(2)利用期間の上限
「権利者不明」は利用期間の上限がありません。「未管理」は最長3年です(再度の裁定利用可)。
(3)取消の有無
「権利者不明」は、後から権利者が現れても原則裁定は取り消されません。一方、「未管理」は権利者から請求があれば裁定が取り消され、利用は停止となります。
3.「未管理」を利用する具体的なケース
例えば、博物館が古い資料をデジタルアーカイブ化する際に、多数の権利者の一部から連絡への応答が一切ないケースで利用することができます。
◆著作権について質問がある方は、お気軽に河野特許事務所までご連絡ください。
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