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2026.9.1 弁理士 八木 まゆ
この7月に日本国特許庁は、“JPO AIビジョン”として生成AIを含むAIを活用した行政サービスの品質向上・スピードアップを進めていく方向性を示しました。
◆日本国特許庁でのAI使用状況
日本国特許庁では、2017年のAI活用検討から2026年まで、段階的に実証フェーズを進めてきました。2026年現段階において、「1.特許分類付与」、「2.先行技術調査(概念検索、特許文献のランキング表示)」、「3.先行技術調査(検索手法の高度化)」、「4.先行図形商標の調査(商標イメージサーチ)」、「5.先行文字商標の調査」、「6.指定商品・役務調査」、及び「7.先行意匠調査」の項目それぞれについて、AIが導入されています。つまり、AIの高い検索能力及び翻訳能力は既に活用されていますが、生成AIの分析評価能力は未だ検証中であり、「8.特許行政事務(管理)」及び「9.特許審査業務」への技術実証の結果を検討しながら、一部導入フェーズに入ろうとしています。
◆外国特許庁の取り組み
米国、欧州、中国及び韓国それぞれの特許庁では以下のような状況にあります。
(A)米国特許庁
米国特許庁においても、日本国特許庁と同様、分類付与、先行技術の概念検索等の運用が開始されています。米国特許庁は概念検索ではなく、明細書、請求の範囲及び要約書そのものを与えて生成AIに先行技術調査を行なって自動的にリスト化するサービス(ASAP!)を試行的に実施しています。更に、明細書及び請求の範囲に対し実施可能要件の問題があるか否かをタグ付けさせるといった技術の利用も開始されています。商標審査では、AIを活用した商標審査支援ツール(Class ACT)の導入、画像検索ツール(DesignVision)に続き、全商標審査官向けに情報の要約やデータ分析などに活用可能なAI機能が利用されています。
(B)欧州特許庁
欧州特許庁では、EUのAI法に準拠するように運用することをガイドライン化しつつ、先行技術調査、特許分類の付与等について独自の言語モデル(EP-RoBERTa)を使用した検索を行なうシステム(AI-PreSearch)が使用されています。また欧州特許庁では、口頭審理の議事録生成に生成AIが用いられる点が特徴です。
(C)中国特許庁
中国特許庁では、AIを用いた機械翻訳又は画像認識等に基づく先行技術調査、分類付与、関連する先行技術文献、先行図形商標、先行意匠の抽出等が運用されています。米国特許庁同様に出願書面を生成AIに審査させる方法の技術検証も進められているようですが、生成AIを実際の審査にて活用することについては限定的、あるいは検討段階のままです。
(D)韓国特許庁
韓国特許庁では、分類付与、意匠・商標の画像検索等においてAIが使用されていますが、先行技術の概念検索等への適用は未だのようです。
◆人間による審査
審査における生成AIの利用について、例えば上述の“JPO AIビジョン”では、“人間中心のAI”というコンセプトの元に、AIの出力結果を職員が必ず検証し、責任をもって最終判断することが宣言されています。生成AIはあくまでツールであり、各国特許庁においても最終判断は人間がするものとされています。
◆特許出願に関するご相談は河野特許事務所までお気軽にお問い合わせください。
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