ソフトウェア及びビジネス関連発明に関するアンケート集計結果
2001年10月19日
河野英仁
1.背景
近年、近年急増するビジネス関連発明を適切に審査・保護するために、2001年1月にソフトウェア関連発明の審査基準が改訂されました。これにより、日本における審査の方向性が明確化されました。
一方、海外に目を向けてみますと、米国、欧州での取り扱いは若干日本とは温度差があるように感じています。また、米国、欧州、日本では3極間での協議が随時行われ、各国審査に関する情報も入手しやすくなっています。ところが、中国、ロシア等の諸外国では、どのようにソフトウェア・ビジネス関連発明を保護しているのか分からない状況となっています。
このような事情から、平成12年度日本弁理士会の国際活動委員会において、各国代理人に対し、ソフトウェア及びビジネス関連発明に関するアンケートを実施しました。この結果はあくまで代理人の個人的見解であって、各国特許庁のオフィシャルな見解ではありませんが、海外出願をする際には参考になると思います。
なお、この内容は「パテント 2001年10月号Vol.54 日本弁理士会」に掲載されています。また、アンケートは平成12年度国際活動委員会第1部会各委員(恩田誠、秋元芳雄、大菅義之、岡本宜喜、小川利春、奥山尚一、風間鉄也、加藤実、柴田淳一、田中康幸、中村義平、萼経夫、河野英仁、敬称略)の各委員が担当しました。
2.質問内容
コンピュータ・ソフトウエア及びビジネス方法関連発明に関する質問表
1.法制度
Q1.コンピュータ・ソフトウエアは、法によって保護されますか?
A1. □ はい
はいの場合、その根拠は?
□ 著作権法
□ 民法
□ 特許法
□ 刑法
□ 商標法
□ コモンロー
□ 不正競争防止法
□ その他;
□ いいえ
今後法によって保護される可能性は?
□ なし
□ あり
Q2.コンピュータ・ソフトウエアは登録可能ですか?
A2. □ いいえ
□ はい 登録手段;
Q3.(インターネット上で行われるビジネスなど)新規なビジネス方法は、法によって保護されますか?
A3. □ はい
はいの場合、その根拠は?
□ 著作権法
□ 民法
□ 特許法
□ 刑法
□ 商標法
□ コモンロー
□ 不正競争防止法
□ その他;
□ いいえ
今後法によって保護される可能性は?
□ なし
□ あり
Q4.ビジネス方法は登録可能ですか?
A4. □ いいえ
□ はい 登録手段;
2.特許法における保護
Q5.コンピュータ・ソフトウエア関連発明は特許法で保護されますか?
A5. □ いいえ
□ はい
保護の根拠は何ですか?
□ 法律
□ 運用
□ 判例
□ その他;
Q6.コンピュータ・ソフトウエアが行う手順を、方法クレームで記載した場合、特許されますか?
A6. □ はい
□ いいえ
□ コメント;
Q7.コンピュータ・ソフトウエアそのものをクレームに記載することができますか?
A7. □ はい
□ いいえ
□ コメント;
Q8.コンピュータ・ソフトウエア関連発明をクレームに記載する際、コンピュータなどのハードウエアがクレーム上記載されている必要がありますか?
A8. □ いいえ
□ はい
□ ソフトウエアを実行するコンピュータなどのハードウエアがクレーム上記載されている必要がある。
□ ソフトウエアを実行するコンピュータなどのハードウエアが明細書内に記載されていれば、クレーム上の記載は不要である。
□ その他;
Q9.次のような文言から始まるクレームは、特許される可能性がありますか?
A9. 「コンピュータプログラム(A computer program……)」
□ はい □ いいえ
「コンピュータプログラムプロダクト(A computer program product……)」
□ はい □ いいえ
「データ構造(A
data structure……)」
□ はい □ いいえ
「搬送波(A
carrier wave……)」
□ はい □ いいえ
その他、クレームとして記載可能な形式があれば記入して下さい。
※Q9に対して一つでも「はい」と答えた場合には、Q10以降に進んでください。 Q9に対してすべて「いいえ」と答えた場合には、Q11に移ってください。 |
Q10.Q9で特許の可能性があるクレームと、これを実行する装置、方法のクレームを一つの出願に含めることができますか?
A10. □ はい
□ いいえ
□ その他;
Q11.以下は、ビジネス方法特許の例としてよく知られる、アマゾンドットコム社の通称「ワンクリック特許」の米国特許(USP5,960,411)の第1クレームです。新規性・進歩性(非自明性)などの他の特許要件を考慮しないで、このようなクレームが特許される可能性がありますか?
1. A method of placing an order for an
item comprising:
under control of a client system,
displaying
information identifying the item; and
in response
to only a single action being performed, sending a request to order the item
along with an identifier of a purchaser of the item to a server system;
under control
of a single-action ordering component of the server system,
receiving the
request;
retrieving
additional information previously stored for the purchaser identified by the
identifier in the received request; and
generating an
order to purchase the requested item for the purchaser identified by the
identifier in the received request using the retrieved additional information;
and
fulfilling
the generated order to complete purchase of the item
whereby the
item is ordered without using a shopping cart ordering model.
A11. □ はい
□ いいえ
□ その他;
Q12.以下は、日本の審査基準に発明として成立しない例として挙げられた、「パーティ開催方法」のクレームです。日本の実務では、このような「パーティ開催方法」のクレームは、「人為的取決めに基づいているので、全体として自然法則を利用していない」ため特許を受けられないとされています。新規性・進歩性(非自明性)などの他の特許要件を考慮しないで、このようなクレームが特許される可能性がありますか?
1.出席確認の電子メールに対する返信電子メールが来た順番にパーティ開催時に景品を贈呈するお知らせを付けた出席確認の電子メールを参加予定者名簿に基づき送付するステップ、
当該出席確認の電子メールに対する返信電子メールを受け取るステップ、
当該返信電子メールが来た順番を参加予定者名簿に登録するステップ、
パーティの開催時に、会費を徴収するステップ、
会費の徴収後、参加予定者名簿に登録された順番に基づき景品を贈呈するステップ
を含むパーティ開催方法。
A12. □ はい
□ いいえ
□ その他;
Q13.コンピュータ・ソフトウエア又はビジネス方法の特許出願に関する審査ガイドラインは特許庁によって発行されていますか?
A13. □ いいえ
□ 他の出願と同じ審査ガイドラインによって審査される。
□ はい (コメント)
Q14.その他、コンピュータ・ソフトウエア又はビジネス方法関連発明について、貴国の動向やコメントなどありましたら、ご記入下さい。
3.集計結果
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